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2007年08月08日
残雪『突囲表演』
■佐々木敦さんのブログで「アタマがアレになった人が書いたとしか思えない驚異のメタフィクションにして唯一の邦訳長編」なんて書いてあったので、「そそそそれは読まねば!」と思って図書館で借りてきた。なるほどこりゃすげえや。あ、松岡正剛の「千夜千冊」でも紹介されてますな。
■基本的には中国の田舎町を舞台に、謎の女性「X女史」の「姦通事件」をめぐり、周囲の村人たちが「藪の中」的にさまざまなことを語るマジック・リアリズム小説、というような感じ。著者の両親は文革の際に「右派」とされて結構つらい思いをしているようなので、「X女史」に詰め寄る村人たち不条理ぶりなんかはそういった経験が反映されているのかな、なんて思ったりもするのだがそこにはとどまらない。「筆者」と称する語り手がまた曲者で、中原昌也+森見登美彦みたいな大仰かつ饒舌な文体で語られる。いやあこんなブッ飛んだ小説はひさびさに読みました。世界は広いなあ。
■河出から今度スタートする池澤夏樹・編の世界文学全集にも、残雪の未訳作品「暗夜」が収録されるという。楽しみです。それまでに他の作品も読んでおこうと思う。
ちなみにこの全集、他に個人的に楽しみなのは青山南の新訳によるケルアック『オン・ザ・ロード』と沼野充義の新訳によるナボコフ『賜物』とかかなあ。
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投稿者 junne : 2007年08月08日 14:50
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