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2007年09月02日
小寺信良・津田大介『CONTENT'S FUTURE』
■出てすぐ買ったのだけど、ようやく読んだ。いや、すげえ面白いっすよ、これ!
■IT系ライターの両氏が、コンテンツビジネスの最前線にいる人々と鼎談。「放送と通信の融合」を視野に入れたテレビ・ラジオ業界の展望。音楽業界を筆頭に、権利者たちの様々な思惑が交錯し行き詰まりつつある著作権制度などなど、興味深いテーマの数々。
■椎名和夫氏の章での、現在の音楽業界は老舗のガンコな蕎麦屋のようなもので、今は柔軟な二代目の登場が待たれる、なんていう発言を筆頭に、数々の提言をブチあげている津田さんの「生意気な青年」キャラっぷりがおもろいなー。トークなだけに、今まで読んだ著書とくらべて普段喋ってるときの印象に近い気がします。「Life」リスナーの津田ファンは必読ではないかと。小寺さんは年長者なせいかどちらかというと津田さんに対しては突っ込みにまわるほうが多いようだが、それでもビシっと主張するところはする。映像業界で実際に制作の現場にいたひとだけに、主張にもリアリティが感じられる。
■で、個人的な興味の対象となるのはやはり書籍の未来。鼎談の相手は松岡正剛。千夜千冊を読んでると、主に政治的なスタンスの部分でちょっと微妙だなーと思うこともあるひとなのだけれど、そうは言っても「書籍」という形態についてポジティブな発言が読めるのは嬉しい。なんだかんだでテレビなんかより未来は明るいんじゃないかとすら思える。雑誌は厳しいかもしれないけど、やっぱ本というメディアは実際完成度高いと思う(まあぼくの場合は思い入れも多分にあるのであれだけど)。
電子書籍がいまいち伸びない理由について、書籍はそれ自体がすでに充分にモバイルだ、という指摘はなるほどと思ったし、あと紙に変わる、安くて魅力的な新素材が待たれるという話なんかは結構膝を打つものがあった。そうなの、最近よく話すのだけど、著者に払う印税より印刷所に払う費用のほうが高いのとか、どうかと思うよなあ。アナログレコードからCDになって材料費が大幅に下がったというような技術革新が書籍にも起ることをせつに望みます。その際には、CDみたいに原価は下がってるのに定価は下がらず印税も上がらない、なんてことがないことも望みます。
■この本自体がクリエイティブ・コモンズ・ライセンスでのリリースであり、また鼎談の一部を映像配信したり著者たちによるネットラジオの配信が行われたりと、本から派生した「コンテンツの未来」的な試みが行われているのも興味深くかつ心強い。有言実行っていうのはなかなかできないやね。
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投稿者 junne : 2007年09月02日 00:52
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