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2008年03月27日
今村仁司『貨幣とは何だろうか』
■94年刊。ソ連をはじめとする共産圏の崩壊がまだ記憶に新しかった時期にかかれたものだな、というのが随所からうかがえる。「貨幣とは何か」ということについて、経済学的見地ではなく哲学的見地から考えた本。
■貨幣の持つ「媒介」という役割は人間にとって根源的なもので、それは「文字」も同様であるとし、ルソーに代表される西洋哲学の文字批判・貨幣批判=「媒介」批判を批判する。媒介物をなくすことは人の持つ暴力性が剥き出しになることにつながり、その例がスターリンやポル・ポトだ、という。なんか飛躍がある気もするが。ていうか議論の前提として提示される「貨幣と『死の観念』は関係がある」という考え方がそもそもいまいちピンと来ないというか、よくわからない。
■ともあれ、3章および4章で書かれている、ゲーテ『親和力』とジッド『贋金つかい』を「貨幣小説」として読む、という試みは大変面白かった。文芸批評として普通に面白いと思う。
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投稿者 junne : 2008年03月27日 13:25
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