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2015年03月13日
【3冊目】蓮實重彦『「ボヴァリー夫人」論』
■大著。今年は正月休みがちょっと長めだったのでその間に読もうと思って昨年末購入したのだが全然読み終わらず結局二ヶ月以上かかってしまった。ずっと読み続けてたわけではなく飛び飛びだけど。時折けっこう間が空いたりもしたので今ひとつ論旨を終えてない部分も多々あるし、膨大な脚註にも全然目を通せていないので「読み終えた」とはとても言えないが、まずはひと通り目を通したというだけで達成感(笑)。
■「エンマ・ボヴァリー」という名前はこの小説には一度たりとも出てこない(「エンマ」または「ボヴァリー夫人」と言われる)という事実を指摘し、それゆえにこれまで膨大に書かれた『ボヴァリー夫人』についての論考において「エンマ・ボヴァリー」という言葉を使っている論者はすべて「テクスト的な現実」から離れているとバッサリやることから始まり、様々な反復される動作や記号などを細かく読み解いていく。手法としては極めて蓮實重彦らしいものだが、「テクスト的な現実」にこだわりつつも草稿や著者の伝記的な事実、社会背景、先行研究など様々な資料を駆使しているあたりは流石長年のテーマだなと思わせる。
■別にライフワークとかではないとあちこちで強調しているようだけど、なんだかんだで高齢なので長年取り組んでいる題材にかたをつけていきたいんだろうな、という気はする。となると次はジョン・フォード論ですな!
「ボヴァリー夫人」論 (単行本) 蓮實 重彦 筑摩書房 2014-06-27 by G-Tools |
ボヴァリー夫人 (河出文庫) ギュスターヴ・フローベール 山田 ジャク 河出書房新社 2009-07-03 by G-Tools |
投稿者 junne : 2015年03月13日 00:43
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